TOEICは、英語によるコミュニケーションおよびそれにまつわるビジネス能力を検定するための試験です。
ビジネスの知識そのものを問われることはありませんが、ビジネスの場で使われる英語が多く出題されます。
当然、問題文にもビジネスに関する内容が多いために、それに関する背景知識を持っておくと非常に有利になります。長文を速読する場合でもポイントとなる専門用語が分かっているだけで文の大意がかなりつかめるはずです。
逆にその単語が分からなければ前後から意味を推測せねばならなくなり時間的に苦しくなります。ここでは「金融」に関する英単語およびフレーズを中心に解説をさせていただきます。
社会人の方でもその分野で就業していないと日本語の意味ですら取れない単語もあろうかと思います。
ですからここでは学生などビジネス経験のない方々にも理解できるようにできるだけわかりやすい解説も加えてゆきます。単語は意味を抑えるだけでなく仕組みの中でどのような役割を担っているものなのかある程度理解を進めながら覚えていきましょう。
財務諸表から学ぶ
財務諸表とは一般的に決算書と呼ばれる書類のうち、法律で定められた上場企業などに作成が義務づけられている書類のことです。
その中でも「財務三表」と呼ばれる重要なものに
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
の3つがあげられます。
(1)貸借対照表 Balance Sheets
経営の財務状態を明らかにする表のことです。B/Sともよく言われています。
- 資産:Assets 企業が調達した資金の運用状況を示します。
- 負債:Liabilities 企業が他者から調達した資金状況を表します。
- 純資産:Net assts 自前のお金でどれだけ経営しているかを示す部分です。
- 流動資産:Current assets 短期間で現金にすることが可能な資産のことです。
- 固定資産:Non-current assets 会社が長期間にわたり保有するもの、もしくは1年を超えて現金化、費用化される資産のことです。
- 純資産:Net assets 資産から負債を控除したものをいい、正味の財産ともいいます。
- 受取手形:Trade notes receivable 取引をしている相手から受け取った「約束手形」および「為替手形」のことです。手形(a bill)とは記載された金額を指定した期日に指定された場所で支払うことを約束した信用証券のことを言います。企業同士では商品代金や代金の支払いに現金の代わりに用いられることがよくありますが現在では手形での取引は減少しています。
- 売掛金:Trade accounts receivable 売り上げの対価として将来的に金銭を受け取る権利、売掛債権のことです。
- 買掛金:Accounts payable 商品などを仕入れた時の未払金のことです。
- 有形固定資産:property, plant and equipment 物理的な形態を持ち1年を超える長期にわたり利用される事業用資産のことです。原則として営業の用に供されるものに限られます。
- 無形固定資産:intangible assets 物理的な形態を持たないが1年を超えて用いられる資産のことです。例えば特許権や借地権、ソフトウェア、営業権等があります。
- 支払手形:Notes 記載されている金額を期日までに支払うことを約束する手形のことです。
- 前受金:Advances by customers 商品売買などを行った際に、商品代金としてその一部または全額を前もって受け取った金額のことです。
- 社債:Bonds 企業が投資家からお金を借りる際の借用書のようなものです。つまり投資家は企業にお金を貸すということになります。
- 資本金:Capital stock ビジネスを行う上での元手金のことであり、資本金には経営者の手元資金と投資家からのお金の2種類に分けられます。
- 自己株式:Treasury stock, at cost 企業自らが発行した株式を株主から買い戻し保有しているものです。
(2) 損益計算書(Profit and loss statement)
企業の1年間の営業成績を示す決算書のことであり、経営戦略を立てる上でも重要な書類です。会社の経営状況を把握する決算書の中でも、一定期間における会社の利益を把握するためには不可欠なものとなります。P/Lと呼ばれています。
- 売上高:Sales 企業が商品やサービスを提供することにより稼いだ金額のことです。
- 売上原価:Cost of sales 売れた商品の仕入れや製造にかかった費用のことです。商品が売れた際に計上される原価を意味します。
- 販売費および売上管理費:Selling, general and administrative expenses 商品や製品を販売するためにかかる費用と会社全般の業務管理活動にかかる費用(一般管理費)の合計金額のことです。つまり企業の営業活動に要する費用のうち売上原価に該当するものを除いたもので「営業費」とも呼ばれています。
- 営業外収益:Non-operating income 企業が本業以外の活動で経常的に得ている収益のことです。
- 営業外費用:Non-operating expenses 企業の主たる営業活動以外から経常的に発生する費用のことです。
- 特別利益:Special income 企業の通常の営業活動とは直接かかわりのない、その期だけに特別な要因によって発生した利益のことです。
- 特別損失:Special expenses 会社の陶器の業務活動に関係せず、規則的または反復的に生じることのない臨時の利益や損失のことです。
- 仕入:Purchases 販売や商品化のために商品や原材料をメーカーや卸売業者から仕入れることを言います。
- 給料: Salaries expense 基本給に残業代などの諸手当を含むものです。
- 賃金:Wages expense 諸手当だけでなく賞与、交通費など会社から支給されるすべてのものです。
- 賞与:Seasonal bonuses 固定給が支払われている従業員に対し定期給与とは別に支払われる給与のことです。
- 広告宣伝費:Advertising expense 会社の商品やサービスなどを不特定多数の消費者に対して販売するために必要な広告や宣伝にかかる費用のことです。
- 旅費交通費: Traveling expense 会社の業務上の命令で通常の勤務地以外の場所へ向かうための交通費とその業務に必要な経費のことです。
- 交際費: Entertainment expense 取引先や事業に関係する者に対する接待や贈り物などにかかる費用のことです。
- 販売促進費: Promotion expense 商品やサービスによる売り上げの増加やブランド力向上のための支出のことです。
- 貸倒損失: Bad debt expense 売掛金などの債権が回収できなくなった場合にその金額を損失にすることをいいます。
- 営業利益: Operating income企業の主たる営業活動で稼いだ利益のことです。「売上高」「売上原価」「販売費と一般管理費」の3項目を用いて算出されます。つまり「売上利益」=「売上高」-「売上原価」-「販売費・一般管理費」をして算出されるのです。
- 為替差損: Net foreign currency translation gain 為替レートの変動により生じた損失のことです。
- 経常利益: Ordinary income 企業が通常行っている業務を通じて得た利益のことをいいます。
(3) 株式用語
- 株式: Stock
- 株式市場: Stock market
- 株式公開: initial public offering 株式会社が自社の発行する株式を自由に譲渡できるようにすることです。
- 上場する: get listed
- 上場株: listed stock
- 優良株: blue chip
- ストックオプション: stock options 株式会社の従業員や取締役が、自社株をあらかじめ定められた価格で取得できる権利のことです。
- 配当: dividend 企業が株主に利益を分配することをいい、株主が保有する株数に比例して分配されます。通常は決算時に分配が行われます。
- 株主: shareholder, stockholder
- 証券会社: securities company
- 東京証券取引所: the Tokyo Stock Exchange
- IR: investor relations 企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、今後の見通しなどを広報するために行う活動のことです。
- 株価: share price
- 暴落: crash
- ダウ平均: the Dow Jones Averages アメリカのダウ・ジョーンズ社が算出している平均株価のことでアメリカの代表的な業種の銘柄の株価が元となっています。
- 銘柄: issue
- 国債: government bond
預金等の銀行用語
- ・預金:deposit
- ・金融機関: financial institution
- ・当座預金口座: Current Account
- ・普通預金口座:Saving Account
- ・口座番号:bank account number
- ・小切手: check
- ・送金: remittance
- ・振込: bank transfer
- ・引出し:withdrawal
- ・預入: deposit
- ・自動引落: automatic deduction
- ・預金残高: account balance
- ・金利: interest rates
- ・低金利: low interest rate
- ・住宅ローン: mortgage
- ・外貨両替: foreign currency exchange
- ・為替レート: the exchange rate
TOEIC対策!景気の動向を伝える英語例文・フレーズ
- economic trend:景気動向
- People are sensitive to economic trend. 国民は景気の動向に敏感です。
- reflect economic trends 景気動向を反映する
- in a slow down 景気が後退して
- They were forced to lay-off the half of the employees as a result of poor business conditions 景気が悪化したため、彼らは従業員の半数をやむなくレイオフしました。
- We have to secure growth less susceptible to swings in the economy. 景気に左右されないように経済の成長を確保しなければなりません。
- Cars are economically sensitive commodities in Japan. 日本において車は景気に敏感な商品です。
- The prime minister is upbeat about the economy. 首相は景気について強気で見ています。
- ease the negative effects on the economy 景気に及ぼすマイナスの効果を和らげます。
- kick-start the economy 景気に弾みをつけます。
- The income tax reductions will have a considerable ripple effect on business. 所得税の減税は景気動向に大きな波及効果があります。
2022年の金融状況から学ぶ英文フレーズ
- European economy has been deteriorating under the influence of Russia’s invasion of Ukraine. ヨーロッパ経済はロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて悪化してきています。
- The future crisis of food shortage depends on the situation in Ukraine. 今後の食糧不足の危機はウクライナの状況次第です。
- Consumer prices in Japan are expected to rise further due to the effects of rising energy costs. 日本の消費者物価はエネルギー価格の上昇の影響でさらに上がる見込みです。
- The only renewable energy transition is not enough to realize a carbon-free society, and measures against food loss are strongly required. 脱炭素社会の実現のためには再生可能エネルギーへの移行だけでは不十分であり、食品ロスに対する対応が強く求められています。
- Germany that is highly dependent on Russia for energy in EU, should be shifting its energy policy. EUの中でもロシアにエネルギーの依存度が高いドイツはエネルギー政策の転換が進むでしょう。
まとめ
TOEICの対策として「金融」を中心に「世界情勢の今」も踏まえ見てきましたがいかがでしたでしょうか。
金融の単語は普段なじみのないものも多いのですがこの場で覚えてしまえば、本番での斜め読みなど速読を行う際に英文の大意がとらえやすくなるはずです。
現在の世界はグローバルの枠組みの中で活動をしています。だからこそロシアのウクライナ侵攻をきっかけとして大きく方向転換しようとしているのです。英字新聞や英文のネットニュースのヘッドラインをさっと目を通すだけでも今を表す用語が数多く出てきます。
そういった時事用語も押さえていくことで長文の対策もしっかりととれるはずです!
頑張ってください。
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